ノーマン・マクラレン (Norman McLaren)

(1914-1987 スコットランド出身)  作品数も多く、アイデア満載。いろいろな手法のアニメーションを作った方です。
「つぐみ」(1958) は、丸と四角だけの切り紙で出来た「つぐみ」が音楽に合わせて踊ってるだけ、という作品なのですが、単純な形の組み合わせだけであれだけ自由で、生き生きとしたアニメーションができるのか、と思います。
「隣人」(1952) という作品では実写のコマ撮りアニメーションであるピクシレーションという技法を使用しアカデミー賞短編ドキュメンタリー最優秀賞を受賞しています。
他に「めんどりの踊り」(1942) 「カノン」(1964) 、実写を時間をおいて重ねる「パ・ドゥ・ドゥ」(1968)、フィルムに直接画を描くシネ・カリグラフと呼ばれる手法でつくられた実験的作品「線と色の即興詩」(1955)  などなどたくさん。


フレデリック・バック (Frédéric Back)

(1924~ フランス出身)  絵本も有名。アニメーションも、文字通り絵本をめくっているかのようです。セルに色鉛筆やパステルなどで描かれています。
ロッキングチェアを通して人間の一生を描く「クラック!」(1981)、絵本でも有名になった「木を植えた男」(1986) 「大いなる河の流れ」(1993)など。DVDの表紙の画は、「木を植えた男」です。
2011年7月2日 ~ 2011年10月3日まで、東京都現代美術館で大規模な回顧展が開かれました。そこでは原画や動画が多数展示されていたのですが、一枚一枚丁寧に美しく描かれており、その真摯な仕事ぶりに驚きを覚えました。


コ・ホードマン (Jacobus Willem (Co) Hoedeman)

(1940~ オランダ出身)  子供向けの作品が多いのですが、大人でも十分楽しめます。立体アニメーションを手掛けられています。制作作業は基本的におひとりでされているようです。なので、タイムシートとかも全く書かないそうです。一度公演を拝聴したことがあるのですが、「一度にたくさんのキャラクターを動かしていて、次の日になってよくわからなくなったりすることはないのですか?」という質問に、「別に大丈夫」といった趣旨のことをやわらかい笑顔で話しておられました。すごいです。キャラクターが動きたがってるのを手伝ってる、という感覚なんでしょうか。
立体のセットの中で動かしている切り紙アニメーション「スニッフィング・ベア」(1992)に出てくる動物たちは、本当に命を宿しているかのようです。
他に、かわいいこぐまの人形アニメーションのシリーズ「テディベアのルドヴィック」(1998~2002)、 砂を使った人形アニメ「砂の城」(1977) ではアカデミー賞受賞。 木製キューブに絵をかいて積み木のように動かしている「シュッ・シュッ」(1972) など、良質の短編作品多数。DVDの表紙の画は、「シュッ・シュッ」です。


ポール・ドリエッセン (Paul Driessen)

(1940~ オランダ出身)  NFBでも活躍されていたのでカナダに入れましたが、母国オランダでも精力的に制作されています。彼の作品は、手書きのよれよれの線やデフォルメされた動き、画面を分割する手法(スプリット・スクリーン)が特徴。分割されたそれぞれの画面の中で、時間や現実、妄想が交錯。アニメーションは『自由』なんだ、と思わされます。観てるほうは画面を追うのがちょっと大変ですが、この方の作品はどれもちょっとアイロニカルで楽しくて笑えるものばかりです。
「氷山を見た少年」(2000)は、少年の、現実逃避の為の妄想から繰り広げられるお話。
他に、「生存競争」(1979)など、多数。
★作家HP:http://pdriessen.com/


イシュ・パテル (Ishu Patel)

(1942~ インド出身)  純粋に、『アニメーション』を楽しめる。どうやって作ったんだ?どれくらい時間がかかるんだ??と、考えずにはいられない緻密でインドの方らしい美しい画面。
たくさんのビーズを動かしていて、その作業を思うと気の遠くなりそうな「ビーズゲーム」(1977)や、「死後の世界(1978)」など。DVDの表紙の画は、「パラダイス」(1984)です。
★作家HP:http://ishupatel.com/


ライアン・ラーキン (Ryan Larkin)

(1943‐2007)  「歩く」(1969)は、人々がいろいろな角度からリズムよく描かれ、ほとんど歩いてるだけのアニメーションなんですが、見入ってしまいます。
他に「ストリート・ミュージック」(1972)など4作品を残しています。作品の独自性と、一時路上生活をしていたというその波乱な人生も相まって、彼の魅力は今だ私たちを惹きつけています。


ジャック・ドゥルーアン (Jacques Drouin)

(1943~ )  ピンスクリーン・アニメーション です。
光と影の織りなすハッキリとした輪郭のない柔らかく淡ーい画面が特徴的な画。自分が描いた風景画の中に入り込んでいく「心象風景」(1976)など。


キャロライン・リーフ (Caroline Leaf)

(1946~ アメリカ出身) 残酷さ、哀しさといった人間の持つ本質?を描かせたら天下一品。
テクニック的には、以下のような技法が使われています。
◇ガラスの上に砂を置く技法
 「がちょうと結婚したふくろう」(1974)
 「変身」(1977)
ガラスに絵の具で絵を描く技法
 「ストリート」(1976)
フィルムを引っ掻く技法
 「姉妹」(1990)


これらの作品は、カットを繋ぎ合わせていくという手法ではなく、メタモルフォーゼを繰り返して画面を作っていくというやり方です。
「がちょう~」は、がちょうに恋するふくろうの話。イヌイットの民話が元になってるそうです。一生懸命がちょうのように水に入ろうとしたり、空を渡ろうとするふくろうの健気な姿に涙。
「変身」は、あのカフカの名作が原案。妙に虫の足が生々しい。窓の外を見つめる虫(ザムザ氏)の背中に涙。
「ストリート」は、子供の”無邪気な”残酷さや大人の本音を描いた名作。Mordecai Richler(モルデカイ・リッチラー)の短編小説を基にしているそうです。人間の本性に涙。
「姉妹」は、ある姉妹の話。醜い姿をした妹とその姉が、ひっそりと世間から身を隠すように暮らしています。妹は小説家なのですが、その熱心なファンが彼女のもとを訪れたことから、彼女の心に変化が起こり、新たな人生が動き出します。"人は見かけが9割"のこの世に涙。


リシャール・コンディー (Richard Condie)

「大喧嘩」(1985)は、家の外では核戦争が起こっているのに、家の中でけんかしているカップルの話。ブラックユーモアなセルアニメーション作品。


ジャネット・パールマン (Janet Perlman)

「塀の中のペンギンたち」(2003) 「シンデレラペンギンの優しい物語」(1981)は、女優ペンギンのお話。手書きアニメーションです。このペンギンたちは絵本にもなっています。
「ブリ―ダンス」(2000)なども含めコミカルなアニメーションを作られています。
★作家HP:http://www.janetperlman.com/Janetperlman.com/home.html


シェルドン・コーエン (Sheldon Cohen)

(1949~ )  「ゆきのねこ」(1998)は、セルとフィンガーペイントのミックスです。雪の日に少女のところに現われた不思議なねこの話を、おばあちゃんが孫娘に語る、というストーリー。絵もきれいで、心にしみるお話です。
「犬がほしいの」(2003)は、犬が欲しくて仕方のない女の子が、ある日素敵なものを見つけて、犬を飼った気分に、というお話。手書きの原画をPC上でレンダリングして作成しているそうです。
上記2作品とも、絵本作家、ダイヤル・カー・カルサ(Dayal Kaur Khalsa)の絵本をベースにしています。


ミシェル・レミュー (Michéle Lemieux)

(1955~ )   イラストレーター、絵本作家としてキャリアを積んでこられた方です。「嵐の夜(ストーミー・ナイト)」(2003) は、自身の絵本を原作に、自ら監督として作った作品。『無限』の終わりってどこにあるの?、などといったちょっと哲学的な問題について、嵐の夜に女の子が思いを巡らす話。
「此処と大いなる何処か」(2012) は、ドゥルーアンからピンスクリーンを受け継ぎ、作った作品。「時間」と「空間」に関するテーマを持った4つのパートから構成されています。ちょっと不思議な生物?も登場するなど、見ている側の想像力をかきたててくれます


コーデル・ベーカー (Cordell Barker)

(1957~ )   「ストレンジ・インベーダーズ」(2001)は、子供を欲しがっている夫婦のところに、空から子供が降ってきます。2人は天からの授かりものだ、と彼を育てようとしますが、その子は普通の人間の子供ではなく、とんでもないことばかりしでかします。やがて家庭はめちゃくちゃになって、、、、。オチも効いてる、ブラックコメディ。セルアニメーション。


ミシェル・コーノイヤー (Michèle Cournoyer)

「ザ・ハット」(1999) 幼いころに性的虐待を受けた経験のあるストリッパーの話。性的虐待を暗示させるシーンなどがあり、あまり広く受け入れられるタイプの作品ではないかもしれません。しかし、台詞もなく無駄を削ぎ落した白黒の線画で描かれているこの作品は、アニメーションでしか伝えられない、また、アニメーションだからこそ伝えることのできる1人の人間の人生、心情を描くことに成功しています。個人的には名作だと思ってます。


ウエンディ・ティルビー (Wendy Tilby)

ガラスに油絵で描いて撮影する手法。マットだけど透明感のある質感が好きです。
「ワイルドライフ」(2011)《アマンダ・フォービス[Amanda Forbis]と共作》は、1909年イギリスから開拓を目指してカナダにやってきた男の話。ラストシーンは、なんともいえない切なさを覚えます。
お互い知らない人同士の見えない"つながり"を描いている「ある一日のはじまり」(1999)《アマンダ・フォービスと共作》が有名ですが、天井や壁一枚を隔てただけの同じアパートに住む人との関係を描いた「ストリングス」(1991)も良い作品です。


マルコム・サザーランド (Malcolm Sutherland)

(1979~ )  「バードコールズ」(2006) 受話器から聞こえる鳥の鳴き声を書きとっていると(鳥文字?)、その文字が鳥のようにさえずり、動き出します。シンプルだけど楽しい、大好きな作品です。
★作家HP:http://www.animalcolm.com/



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