ハラス&バチェラー・カートゥーン・フィルムズ (Halas & Batchelor Cartoon Films)

ジョン・ハラス(John Halas) (1912-1995 ハンガリー出身)  国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)の設立に携わったり、アニメーションに関する多数の著作を残したりしています。
ジョイ・バチェラー (Joy Batchelor) (1914-1991 イギリス出身)  1937年、ジョンにアニメーターとして雇われたことがきっかけで、一緒に仕事をするようになりました。1940年にジョンと結婚。公私にわたるパートナーとなります。


ジョン・ハラスによって1940年に設立。以後50余年にわたり数々の作品を世に送り出したイギリスのアニメーションスタジオ。今はもうありません。
「動物農場」(1954)は、ロシア革命を描いたジョージ・オーウェル原作の反共的な小説『動物農場』(1917)をベースに、ジョン&ハラスが監督を務めたイギリス初の長編アニメーション。2年の歳月をかけて作られました。様々な動物の声を、俳優のモーリス・デナムが一人で演じています。賢いブタを中心に、農場に飼われていた家畜たちが反乱を起こして農場主を追い出すことに成功。始めは「全ての動物は平等である」というスローガンを掲げて団結していたのですが、だんだんとその中から権力意識が生まれ始め、動物たちの中にも序列ができていってしまいます。当時の共産主義社会を批判しているのですが、人間の飽くなき権力欲を皮肉った普遍的な内容になっています。だからこそ、今見ても楽しめる作品なのでしょう。
ここのスタジオでは、車社会を皮肉った短編作品 『オートマニア2000』(1963) など、実に2000本を越える作品を作っているそうです。
★ジブリによる「動物農場」のHP:http://www.ghibli-museum.jp/animal/


ジョージ・ダニング (George Dunning)

(1920~1979 カナダ出身)  「Yellow Submarine」(1968) は、イギリスで作られたビートルズの長編アニメーション映画。音楽が嫌いなブルー・ミーニー達に侵略されてしまったペパー・ランドを救うため、イエローサブマリンに乗ってサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(これがビートルズ)が旅立つというお話。シュールな展開、奇妙なキャラ、サイケな色彩が目を引きます。


ブラザーズ・クエイ (Brothes Quay)

(1947~ アメリカ出身) スティーブ&ティモシーの双子の兄弟。人形アニメーションを得意としています。作品は難解な詩のような感じ。でも、そのシュールで緊張感のある独特な感覚に満ちた映像世界は、なぜか惹かれてしまいます。
「ストリート・オブ・クロコダイル」(1986) 「失われた解剖模型のリハーサル」(1988)、「マスク」(2010)など。
執事を養成するための寄宿学校の物語り、「ベンヤメンタ学園」(1995)は実写だけど、白黒映像が幻想的なストーリーと合っていて美しく、個人的に好きな作品。


アードマン・アニメーションズ (Aardman Animations Ltd.)

イギリスのアニメーション制作会社。
ピーター・ロード (Peter Lord) と
デイビッド・スプロクストン (David Sproxton)
の二人がまだ学生だった1972年に設立。1976年にブリストルに移転して活動をスタート。所属作家では、ニック・パークが有名。
二人が作った作品としては、受付嬢が他愛ないおしゃべりをしてる作品「Confessions of a foyer girl」(1978)や、有名なキャラクター「モーフ」シリーズ「The Amazing Adventure of MORPH」(1981~83)など。
★HP:http://www.aardman.com/


ニック・パーク (Nicholas Wulstan Park)

(1958~ )  イギリスの『アードマン・アニメーションズ』のアニメーター。
彼が監督を務めるクレイアニメーション「ウォレスとグルミット」は大人気シリーズになっています。
第一作目の「チーズホリデー」(1989)は、一人で7年かけて作られたのだそうです。
長編作品に、「チキンラン」(2000)があります。


デイヴ・ボースウィック (Dave Borthwick)

アードマンでカメラマンをしていた方だそうです。 69分の長編人形アニメーションの「親指トムの奇妙な冒険」(1993)は、ちょっとグロテスクな見た目とは異なり、意外と切ないストーリー物。とある夫婦のから生まれた、手のひらサイズの小人・トム。両親からは可愛がられるのですが、謎の男たちに連れ去られて、怪しい研究所に連れて行かれてしまいます。そこで出会ったミュータントと共に研究所から脱出し、新たなる仲間と共に親のもとを目指すのですが、最後は少し意外な結果が待っています。
実写の人物と人形を同時に撮っているので、人間もコマ撮りされています。逆に人形の動きの方がスムーズだったりして、面白い画になってます。


ダニエル・グリーブス (Daniel Greaves)

「マニピュレーション」(1991)は紙に描かれたキャラクターがアニメーターにいじめられて紙から抜け出す話。実写と組み合わせているなど、丁寧で凝った作りになっています。とても笑える、楽しい作品。
「フラットワールド」(1997)は、道路整備士の主人公が手違いで間違ってテレビのケーブルを切ってしまう。すると、、、、。 この作品は、紙の切り絵(ペーパーモデル)で作られており、4万枚にもおよぶペーパーモデルが用いられているそうです。一枚一枚セットに立てて、それを置き換えて作っています。この作品もストーリーがしっかり練られており、年齢問わず楽しめます。


ラン・レイク (Run Wrake)

イラストレーターとしても活躍する、ブットンだ世界観を持つ作家。特にPVの仕事が有名。ワケわかんないけどイカれたものが好き! という人におススめ。
「Rabbit」(2005)は、既製品のステッカーをスキャンして作られた作品。子供たちが捕まえた"rabbit(ウサギ)"を真っ二つに斬ると、中から"idol(偶像)"が出現。その"idol(偶像)"が、魔法を使って身近なものを次々と宝石に変えます。驚いた子供たちは、それを利用して大儲けを企みます。しかし結局上手くいかず、最後には悲劇が待っていました、、、。人間の欲望を描いた現代の寓話です。
他に、彼の生み出したキャラクター《ミート・ヘッド》が登場する「JUKEBOX」(1992-1994)や、ハウィーBとのコラボレーション作品「MUSIC FOR BABIES」(1996)など、どれも唯一無二の世界観。
★作家HP:http://www.runwrake.com/


スージー・テンプルトン (Suzie Templeton)

(1967~ )  人形アニメーションを得意とする作家です。
「犬」(2002)は、母親を亡くしたばかりの息子を傷つけまいと、衰弱して死にそうな飼い犬を父親自ら殺めてしまう、という話。冒頭に悲しみに暮れる少年がベットで横たわっているシーンがあるのですが、この目が凄い、、、。涙で潤み震える眼球、瞼に背筋がヒヤッとするほどの迫力があります。父親が弱っている飼い犬を見る目もそう。
その表情も凄さは、「ピーターと狼」(2006)でも存分に発揮されています。30分近くあるこの作品は、田舎でおじいさんと二人暮らしをしている少年・ピーターが、狼との対決を通して成長していく物語。 とにかく作りが丁寧。少年の目力は、本当に生きているかと思わせるほどです。狼以外にもアヒルやカラス、ネコといった動物も出てくるのですが、みんな表情が豊かで活き活きと動き回ります。
★「ピーターと狼」HP:http://www.peterandthewolffilm.co.uk/index2.html


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