ノルウェー

ピョートル・サペギン (Pjotr Sapegin)

(1955~ ロシア出身)  「ノルウェー最後のトロール」(2010)は、ノルウェーの妖精・トロールを描いた人形アニメーション。 都市化が進んだ現代は、トロールにとって住みやすいところではなくなってしまいました。そんな妖精の視点から、人間と自然との共存を考えさせてくれる、静かなトーンの作品。


アニータ・キリ (Anita Killi)

「マレーネとフロリアン(The Hedge of Thorns)」(2001)は戦争を子供目線から描いた作品、
「アングリー・マン (Sinna Mann)」(2009)は父親のDVを子供目線から描いた作品。 それぞれ社会的メッセージ性が強く表れています。切り絵を使っています。二作とも絵本が原作。
★作家HP:http://www.trollfilm.no/_index.html


ベルギー

ラウル・セルヴェ (Raoul Servais)

(1928~ )  作品によって結構作風を変えています。そのなかでも有名なのは、「セルヴェ・グラフィ」と呼ばれる、実写とアニメーションを合成した独自の表現を駆使した「ハーピア」と「夜の蝶」の2作品でしょうね。
「ハーピア」(1979)は、青暗く不気味な場面。 或る夜、女の悲鳴を聞きつけた男は、女の首を絞め殺そうとしていた男を倒します。しかし男が助けたその女は、人間の頭部を持つ鳥の化け物「ハーピア」。男は、食欲旺盛なハーピアに下半身も食べられてしまいます。
「夜の蝶」(1998)は、ポール・デルヴォーの画を引用した作品。 駅の待合室に2人の女がいるが、どちらも動かない。そこへ一匹の蝶が紛れ込んでくると、2人は動き出します。彼女たちが待合室でダンスをするシーンがあるのですが、実に官能的で幻想的です。
その他「人魚」(1970)は、世知辛い世の中にわずかに残る愛を描いているように思えます。


オランダ

ボルゲ・リング (Børge Ring)

(1921~ デンマーク出身)  「オー・マイ・ダーリン」(1978)は、1人の娘の成長と、その父親と母親のエピソードを描いた作品。
「アンナ&ベラ」(1984)は、「姉妹」という関係が抱える喜びと苦悩を描いたセルアニメーション。2人の老女が写真を見ながら過去の思い出話に花を咲かています。しかし、1人の男性をめぐる話から思いもよらぬ方向にいってしまう、という展開で進んでいきます。
その他、色鉛筆で描かれた、少年アントンが主人公のかわいらしいショートストーリー「アントン」シリーズ(2001頃)など、彼の作品は、普通の人たちが共感できる日常の細やかな感情を、アニメーションの力ですくいとって見せてくれます。


マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット (Michael Dudok Du Wit)

(1953~ )  「岸辺の二人」(2000)は、何度見ても泣けてきます。 幼い娘を残して父親はボートに乗ってどこかへ旅立ってしまいます。その父の面影を求めて、別れた岸辺に通い続ける娘。やがて彼女が年をとってその岸辺を訪れたとき、その一途な思いはついに、、。ああ、思い出すだけで涙腺が緩んでしまいます。ミニマムな画面、構図、動き、音楽など、映画としての作りに隙がありません。絵本も出ています。
他に、お坊さんが魚を追いかけるうち、本当に自分の求めていたものは何か、ということに気づくお話、「坊さんと魚」(1994)など。
★作家HP:http://www.dudokdewit.co.uk/


イタリア

ミッセーリ スタジオ (Misseri Studio)

フィレンツェにあるスタジオ。 「A.E.I.O.U.」という砂絵アニメーションで作られたシリーズ作品が、NHKの「プチプチ・アニメ」で放映されてました。 砂をひっかいたり、スタンプみたいなもので跡をつけたり、色のついた砂を効果的に使用したりしています。 効果音も味があって楽しいです。 自由自在に砂の上でかわいいキャラクターたちが動きまくり、変形しまくります。シンプルですが、アニメーションの面白さを味わえます 。砂のほかにも、水とか、紙とか、自然のマテリアルにこだわったアニメーションを手掛けているそうです。とても繊細な技術がいることは、想像に難くありません。
下記スタジオHPにYouTubeへのリンクがあり、たくさん作品を見ることができます。
★スタジオHP:http://www.misseristudio.com/


ブルーノ・ボツェット (Bruno Bozzetto)

(1938~ )  「ネオ・ファンタジア (ALLEGRO NON TROPPO)」(1989) は、ディズニーの「ファンタジア」をモチーフに造られた長編アニメーション 。全体の流れとしては、おばあちゃんたちのオーケストラに合わせて、その場でアニメーターがアニメーションを描いていく、という実写をベースに進んでいきます。クラシックにのせて多様なタッチの画で、哀しい話、楽しい話、様々な物語が繰り広げられます。 その中の『悲しみのワルツ』は、一匹の飼いネコの、幸せだったころの思い出を綴った少し哀しい話。淋しげなネコの目が、たまりません。DVDの表紙のネコの画が、それです。 彼はこの長編のほか、たくさんの短編を制作しています。
★作家HP:http://www.bozzetto.com/


ジャンルイジ・トッカフォンド (Gianluigi Toccafondo)

(1965~ )  「UNITED ARROWS」の広告で知った人が多いかも。写真に一コマづつ色を塗ったりして画を作っています。 色使い、デザイン感覚の優れた荒っぽい筆遣いの画面が、めくるめくメタモルフォーゼを繰り返します。 内容は、、、正直良くわかりません。作者が物語を語ろうとしているのかも判りません。こういうのを"映像詩"と呼ぶのでしょうか。何も考えず、画面に"目"をまかせましょう。きっと心地いい体験をします。
「しっぽ」(1989)  「ダンス・フロアー」(1991)  「生きようが死のうが同じこと」(2000)など。


ポルトガル

レジーナ・ペッソア (Regina Pessoa)

(1969~ )  「ハッピーエンドの不幸なお話」(2005)は、人より心臓の鼓動音が大きい女性を描いた少し切ない話。白黒の木版画っぽいタッチの画が印象的です。「カリ、小さなヴァンパイア」(2012)など。女性です。


スイス

ジョルジュ・シュヴィツゲベル (Georges Schwizgebel)

(1944~ )  デッサン力凄いです。シンプルな絵柄だけに、それが際立ちます。独特の世界観に繰り広げられるくメタモルフォーゼ、視点移動が楽しめます。アニメーションの醍醐味。その動きは目が離せず、観ているとテンションが上がってしまいます。
「オフサイド」(1977)は、サッカーをやってると思ったらバスケットボールやアイスホッケーなどに次々とメタモルフォーゼするアクリル絵の具によるセルにメーション。
他に「78回転」(1985) 「フランケンシュタインの恍惚」(1982) 「影のない男」(2004)など多数。


ヤドヴィガ・コバルスカ (Jadwiga Kowalska)

(1982~ )  「少女とハンター」(2010)は、とある街が、ずっと泣いている少女の涙で沈みそうになってしまう。そこへ通りかかったハンターが、少女を泣きやまそうと奮闘する、という話。くすっと笑える結末です。丁寧に描かれた画が綺麗。
「早いの、遅いの (どっちにするの)」(2008) は、一本の木に住んでいるリスとコウモリの話。地下に埋まっている大きな歯車によって昼と夜が切り替わるようになっている世界。普段、リスとコウモリは昼と夜と別々に起きて生活しているので、同じ木の中に住んでいてもお互い顔を合わせることは無かったのです。しかしある日、その歯車にちょっとしたアクシデントが起こったことによって、二匹が顔を合わせることに、、、。 とても可愛らしい、CGを使った2Dアニメーション。


オーストリア

ヴァージル・ヴィドリッチ (Virgil Widrich)

(1967~ )  「Fast Film」(2003)は、数多くの名作映画をコラージュして作られた作品。 65,000枚以上もの写真を使って制作されたそうです。 様々な映画のシーン・俳優を繋ぎ・組み合わせて、何者かに女を連れ去られた男が彼女を救出に向かうというストーリーに仕立て上げています。 その手法は、映画の一コマを紙に印刷し、貨物列車や馬、飛行機といった折り紙にして動かすというもの。その情報量の多さと、アイデア満載の見せ方に圧倒されます。 しかしこういう作品って、著作権はどうなってるんだろう?
他に、実写映像にCGを駆使し、アイデンティティを扱った作品「Copy Shop」(2001)など、手の込んだ面白い作品をつくっています。


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